落葉松・1〜小林秀雄先生との小さな思い出
2017年08月06日
秋のコンサートでは、日本を代表する作曲家のお一人、
小林秀雄先生の代表曲『落葉松』を独唱します。
思い出を書かせてください。
小林先生は、わたしが出逢った初めての、超有名人。と言えるかもしれません。
20代の初め。恩師である坂井郁子先生が主宰する
声楽グループで上演された【紫のドレス】(小林秀雄先生のオペラ作品)で、
わたしは"店員C"という、当時の自分にぴったりの茶目っ気のある役をいただきました。
小柄で朗らかな小林先生が大好きで、
東京から岐阜にいらっしゃる、駅から稽古場まで送り迎えするのが、
私は楽しみで仕方ありませんでした。
先生がガーシュウィンがお好きだと何かの記事で読んだ私は、
カーステレオで、キリ・テ・カナワの歌うガーシュウィンアルバムを流しました。
ほんとにほんとに小さな音で。
そしたら先生が、
アイ・ガット・リズムを鼻歌で歌いながら
『いいね。ボク、ガーシュウィンすきなんだよ。これは誰が歌ってるんだい?』
と。
私はものすごく嬉しくて『キリです!』と張り切って答えました。
少しの会話を楽しむことができました。
毎年、1度ほどだけやり取りするお手紙に、
私は毎回、『岐阜の坂井郁子門下の足利です』と書きます。
小林先生はあまりに著名な方ですので、
私のことなどそれほどご記憶いただいてはないと、思っているからです。
それでも、先生は毎回、
ハガキにびっちりと細かい字で、
近況や励ましの言葉をお返事にくださいます。