「おとうさんは死んだらどうなるの」

2019年07月30日

まだ8歳のわたしが
「おとうさんは死んだらどうなるの?」
と、
いつも死と隣り合わせにある病気を抱える父に尋ねたら

「死んだら無になる。無から無に還る。
かたちがあるものはいつか無になるから、おとうさんも真貴もおなじ」

と言った。

わたしは、無 が怖くなった。
そしてその逆の、
"なかなか無くならないもの"が怖くなった。

怖いものには惹かれるもので
おばけの話は怖くもないし惹かれもしないけど
いつまでたっても無くならない廃墟や
あっという間に消えて無くなる人の脳や細胞の話が怖くて
そして惹かれるものになった。

ちょうど小3の頃から、それまで読んでたおとぎ話を読まず、
うちゅう の本
こうこがく の本
ふしぎなからだとできごと の本
ばかり読むようになり、
宝物は、土器と矢じりとなんかの化石っぽいやつ。
あと、卑弥呼の金印のプラスチックでできたやつ。([かがくのとも]の付録)
そして、顕微鏡と望遠鏡ばかりみていた。

40歳を超える随分大人になってから、2歳違いの妹に
「おとうさん、8歳のわたしにあんなこと言わんで良いのに。無 とか。」
と話したら
「え!?おとうさん、わたしがおなじこと訊いたら、"おとうさんが死んだら、お星様になるんだよ"っていったよ」
と、衝撃の答え!
ずこーっ!(こけた)

ちょっとお待ちくださいよ?
なんですと?!
それ、普通のやつやーん!!

長女は生まれた時から長女
次女はいつまでも次女
というわけね!
なるほど!!

ということを、小宇宙のような苔の写真を撮りながら思い出した。という話。

おしまい。